2025年7月4日に発表されたミタチ産業株式会社の2025年5月期(連結)決算は、売上高の急拡大と共に利益も大幅増加となりましたが、キャッシュ・フロー面ではやや不安定な側面も見られました。本記事では、同社の業績概要、セグメント別の動向、財政状態、今後の見通しについて解説します。
売上高152.4%増、営業利益も35%増加
2025年5月期の連結業績は、以下の通り大幅な増収増益となりました。
| 指標 | 2024年5月期 | 2025年5月期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 388.9億円 | 981.7億円 | +152.4% |
| 営業利益 | 15.9億円 | 21.5億円 | +35.0% |
| 経常利益 | 17.0億円 | 23.7億円 | +39.3% |
| 親会社株主に帰属する純利益 | 12.2億円 | 17.0億円 | +38.8% |
主に自動車分野における半導体販売の商流移管(東芝→デンソー)に伴う売上増が寄与しました。また、産業機器分野では工作機械関連のEMS需要が、民生分野では生産回復が業績を後押ししています。
セグメント別動向|国内が売上を大きく牽引
- 国内事業部門
売上高:822.7億円(前年比 +236.0%)
セグメント利益:21.6億円(前年比 +27.4%) - 海外事業部門
売上高:159.0億円(前年比 +10.3%)
セグメント利益:6.0億円(前年比 +33.5%)
国内におけるデンソー向け半導体販売が急増したことにより、売上の伸びを強く牽引しました。海外は民生用EMSの安定需要に支えられ堅調でした。
キャッシュ・フローの状況
| 区分 | 2024年5月期 | 2025年5月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | +9.5億円 | △92.2億円 |
| 投資CF | △2.7億円 | △2.1億円 |
| 財務CF | △16.4億円 | +107.7億円 |
| 現金残高末 | 30.9億円 | 43.6億円 |
営業キャッシュ・フローが大幅なマイナスとなった主因は、売上債権・棚卸資産の急増にあります。一方、短期借入金を約114億円増加させることで資金を確保しており、財務面では資金繰りに余裕を持たせた形となっています。
財務体質の変化に注意|自己資本比率は71.9%→39.2%へ
| 指標 | 2024年5月期 | 2025年5月期 |
|---|---|---|
| 総資産 | 201.3億円 | 400.3億円 |
| 自己資本比率 | 71.9% | 39.2% |
| 現金・預金 | 31.2億円 | 43.9億円 |
| 棚卸資産 | 72.3億円 | 177.3億円 |
総資産が倍増し、棚卸資産や売掛金の増加により自己資本比率は急低下。財務リスクには今後も注視が必要です。
2026年5月期の業績予想|売上高1,000億円を計画
- 売上高:1,000億円(前年比 +1.9%)
- 営業利益:20億円(前年比 △6.9%)
- 経常利益:20億円(前年比 △15.9%)
- 純利益:15億円(前年比 △11.6%)
事業環境の不透明感を反映し、慎重な見通しとなっています。生成AIやDX推進、人材投資を重視しつつ、基盤ビジネスの維持と新規事業開拓に注力するとしています。
配当|増配を継続、株主還元にも注力
- 2025年5月期:年間配当 60円(前期比 +15円)
- 2026年5月期予想:年間配当 60円(据え置き)
配当性向は28.2%と適正水準を保ち、株主還元にも一定の配慮が見られます。
今後の注目ポイント
- 自動車向け半導体の需要動向とデンソーとの関係深化
- 棚卸資産や売掛金の増加による財務バランスの管理
- 不正アクセスによる海外子会社のサイバーリスクとその影響
- 生成AI・DX分野への戦略的投資と収益貢献のタイミング
まとめ
ミタチ産業は急激な成長局面を迎え、売上・利益ともに過去最高水準を記録しましたが、その一方で財務面やキャッシュフロー面にリスク要因も抱えています。成長から安定への転換期に差し掛かる今、経営戦略の実行力が問われる1年となりそうです。


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