アスクル株式会社【2678】2025年5月期決算:売上は過去最高も、利益面では減益に

決算速報

2025年7月4日、アスクル株式会社は2025年5月期(2024年5月21日〜2025年5月20日)の決算を発表しました。本記事ではその内容をわかりやすくまとめ、今後の展望についても解説します。

売上高は増加も、利益は減少傾向に

2025年5月期の連結業績は以下のとおりです。

  • 売上高:4,811億円(前年比+2.0%)
  • 営業利益:140億円(前年比▲17.4%)
  • 経常利益:138億円(前年比▲17.2%)
  • 当期純利益:90億円(前年比▲52.6%)

売上高は過去最高を記録しましたが、営業利益と純利益は前年を大きく下回りました。主因は物流センター「ASKUL関東DC」の立ち上げ費用と、為替の影響による仕入原価の上昇です。

セグメント別の業績動向

eコマース事業

eコマース事業では、売上高は4,722億円(前年比+2.1%)と堅調に推移しましたが、営業利益は142億円(前年比▲16.6%)と減益に。ASKUL事業は従来型オフィス用品の需要鈍化に直面する一方で、生活用品や医療関連商材が売上をけん引しました。

LOHACO事業はLINEヤフーとの連携施策が奏功し、前年比+1.9%の成長を見せました。

ロジスティクス事業

外部向けの物流受託業務が減収となり、営業損失は2億円(前年は1億円の損失)へと拡大。サービス価格の見直しや生産性向上の努力はあったものの、減収の影響をカバーできませんでした。

その他事業

嬬恋銘水株式会社での飲料販売が新商品の好調に支えられ増収増益。営業利益は前年比241.5%増と大きく伸びています。

財務状況とキャッシュ・フローの概況

  • 総資産:2,277億円(前年比▲152億円)
  • 自己資本比率:34.2%(前年32.2%)

キャッシュ・フロー面では、営業活動による収入が129億円(前年168億円)に減少。投資活動と財務活動による支出が膨らんだことで、現金および現金同等物は前年より133億円減少しました(484億円)。

配当と株主還元

2025年5月期の年間配当は【38円】(前年比+2円)と増配。配当性向は39.8%と高く、株主還元の姿勢を維持しています。

また、自己株式の取得・消却も実施し、1株あたり純資産は831.73円に上昇しています。

2026年5月期の業績予想と新たな中期経営計画

2026年5月期の業績予想は以下のとおりです。

  • 売上高:5,000億円(前年比+3.9%)
  • 営業利益:110億円(前年比▲21.5%)
  • 当期純利益:66億円(前年比▲27.2%)

売上成長を見込む一方で、減益の見通しとなっており、「ASKUL関東DC」および新システムの償却負担が影響する見通しです。

加えて、アスクルは2026年5月期〜2029年5月期を対象とした新中期経営計画を発表。次の2つの柱に注力していくとしています。

① リテール事業の再成長

医療・介護、宿泊、飲食業界向けの販売強化や、オリジナル商品の拡充を図ります。LOHACOではLINEヤフーとの協業を強化し、企業価値の向上を目指します。

② 新たな価値提供領域の確立

強固な顧客基盤や物流・データ資産を活かし、ソリューションビジネスへ展開。PoC(概念実証)を積極的に推進し、2035年には既存事業と新規事業の利益比率を「50:50」にする構想を掲げています。

まとめ:今後の注目ポイント

アスクルは、物流基盤とオリジナル商品の強化により成長余地を持つ一方で、コスト増やシステム償却の影響が業績の重しとなっています。2026年5月期は一時的に減益予想ですが、2027年以降のV字回復を掲げる新中期経営計画の進捗が注目されます。

投資家としては、以下の点に注視したいところです。

  • ASKUL関東DCの収益貢献の時期
  • オリジナル商品の伸びと競合との差別化
  • 新規事業の進展とPoC成果
  • 配当・株主還元策の継続性

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